Wood Program / 北欧の国フィンランドで木造建築

Moimoi. どうも、Taichiです。 森と湖の国ことフィンランドから、建築やデザイン、留学、教育など幅広い分野に首を突っ込んでいきます。

フィンランドについてから三日間の話

Moi.

どうも、Taichiです。

 

とうとうフィンランドに着きました。

Tervetuloa!ってな感じでフィンランド満喫しています。

 

このブログで初めて雑記を書こうと思います。

先に断っておきますが、

 

このブログで一番価値のないエントリーです。(so far)

 

フィンランドに行ってみたいとか、フィンランドが恋しいとか、俺が何して過ごしてるか気になって眠れない!とか、そういう人だけ見てください。

 

KIXからFinnairでHelsinki-Vantaa空港へ

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ついにこの日がやって来た、と言わんばかりに審査官にパスポートを突き出します

そう、一年三ヶ月ぶりに日本を出られる!フィンランドの土を踏める!木々を拝める!

 

ワクワクいっぱいで(顔には出ないけど)搭乗口へ向かいました。

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Priorityの写真を撮ったけど別にPriorityではない。

普通にエコノミーの後の方で乗りました。

 

みなさん、「ラッキービジネス」というものをご存知でしょうか?

名前は今僕がつけたからみなさん知らないでしょうけど、何かしらの理由でエコノミーがビジネスに無料でグレードアップされる現象のことです。

 

前回フィンランドからの帰り、搭乗口で普通にお姉さんに券を渡すと

 

「お一人ですか?」

 

と聞かれました。

もちろん一人なのでそう答えた途端

その方は僕の搭乗券を真っ二つに切り裂きました。

 

「あ、もう日本には帰れないんだ」

 

そう思ったのも束の間、新しい券を差し出したお姉さんは

「行ってらっしゃいませ」

とにこやかに微笑んでくれた。天使か…。

 

そして券を見るとそこには

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「は?」

 

なんと勝手にビジネスにアップグレードされていたのでした。

詳しいシステムはわかりませんが、オーバーブッキングというやつらしいです。

気になる人は調べてください。

 

そして僕はエコノミーの値段で、ビジネスクラスを体験することができたのでした。

(料理が美味しすぎてお腹を壊したのはまた別の話)

 

 

閑話休題

今回はラッキービジネスこそなかったものの、やはりフィンエアーは快適でした。

何より機内食がすこぶる美味しい。

 

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朝10:40から、約10時間のフライトなので、お昼ご飯と到着直前に軽食が出ます。

お昼ご飯は二種類で、カレー風味のなんとか(忘れた)と鶏肉でした。

鶏肉を選んだ理由は、

 

「味付けが日本食だから」

 

これが最後に食べる日本食となると、期待せざるを得ません。

不味かったら嫌だなぁ…。

そんな心配は一瞬で吹き飛びました。めちゃうまい。

 

鶏も蒸し野菜もサラダも全てうまい。機内食ってあんま期待するものでもないと思うんですけど、フィンエアーはすごい美味しいです。ちなみにビジネスはコース料理が出ます。

 

そして驚いたのは、あらゆる種類の料理を用意してくれるところ。

ハラルとかベジタリアンとかビーガンとか乳幼児とか、あらゆる食事を用意してくれます。

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フィンランドに着いてから、これは珍しいことでもなんでもないってことがわかりました。その話はまた今度します。 

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機内の様子はこんな感じ、狭すぎるということもなく、普通です。ビジネスはリクライニングが180°まで倒れます…。「どこまで倒れんねーん!!」てなりました

 

 

 

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機内では映画や音楽も楽しめるんですが、僕はこれが好きです。

 

 

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現在地や飛行状況、現地・出発地・到着地時間などなど、いろんな情報が表示されます。「今ロシア上空飛んでるんだなー」とか。まあロシア上空しか飛ばないんですけどね。

 

 

 

 

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そうこうしているうちに着きました!!天気は快晴!最高!!

 

 

 

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少し歩くと多くの人は右側のトランジット窓口に行ってしまいます。そう、フィンランド目当てでフィンランド行きの便に乗っている人は少数派なのです…。みんな!ヨーロッパに行くときはヘルシンキで数泊してから乗り換えよう!!!

 

 

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フィンランドで一番先に目に入るであろうフィンランド語、Ulos(ウロス)

都市によるんですが、ヘルシンキではフィンランド語とスウェーデン語が公用語に指定されています。西側の都市はだいたいそうかな。東側に行くとロシア語を頻繁に見かけるそうです。ヘルシンキでもロシア語案内を耳にすることはありました。

 

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入国審査へ

 

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あたふたする僕。

 

 

 

無事審査を終え、ついにフィンランド国内へ!!

あー久しぶり。この匂いなつかしいなぁ。

日本の空港は味噌くさいなんて話があるけど、フィンランドのこの匂いはなんだろう。

 

 

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友達のHeidiが空港まで迎えに来てくれました!一年ぶりだ〜〜〜

 

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VR(JRみたいなもん)に乗ってヘルシンキまで行きます。30分くらいかな。

Heidiは明日から一ヶ月北京へ行くので、24時間後また空港へ行ってしまいます。

 

 

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なんども言いますけど、この日のヘルシンキは快晴です!!最高!

日差しは低くて強いんですけど、風がすごくきもちいい。海町なので、風が強い時があります。これは18:40くらいの写真。真昼間かよ。

 

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この日はHeidiの家に泊めてもらいました。この部屋がすごい好きです。

天井が高くて、広くて、夏涼しいし冬はあったかい。物が少ない。俺の家と正反対だ。

「お邪魔しまーす」って行ったらHeidiが「ただいまでしょ」っていうのでめちゃ嬉しくなりました。ただいま!!

 

 

このあとヘルシンキ市内のいろんなとこに行ったんですが(ほとんどはHeidiの雑用について行っただけ)そのうちの一つがAkateeminen Kirjakauppa(アカデミア書店)

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Aalto建築です。でも目当ては建築じゃなくて本でした。

 

 

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サルミアッキのレシピ本。欲しい人いたら日本まで郵送します。

 

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棚一面のベジタリアンレシピ本と誇らしげなベジタリアンの図

 

 

 

今回渡航するにあたって、換金を一切せずに行きました!!

前回は確か600ユーロくらいを現金で持って行ったのですが、その時学んだことは

 

フィンランドで現金持ってる奴いねぇ

 

全部カードで済みます。済ませます。

切符買うのもカード、自販機でジュース買うのもカード、スーパー行ってもカフェに行っても、バーも美術館もレストランも屋台も!!!全部カードです。

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市場の屋台にVISAマークはなかなか面白い。

 

完全なるキャッシュレス社会です。フィンランドは。

唯一現金が使えなかったのは一部の長距離バス、でも事前にチケット買っとけばオッケーです。

 

その反動か、逆に現金を持つ人が少し増えているらしく、どうも大手スーパーなどがカード情報から顧客が何を購入しているのかトレースしているようで、それを嫌う一部の人は脱カード化しているそうです。色々あるもんだなぁ。

 

 

 

フィンランド着いてから色々驚くことがありました。

食文化や環境保護の取り組み、デモやPRIDE、道端で寝っ転がってるおっさんや変な挨拶するスーパーのお兄ちゃんとか笑

一つずつメモして、記録しておかないと慣れてしまってからではそれに気付けない気がして、焦っています。なんせ気になることが多すぎる。

 

ちょっとずつ書いていこうと思います。

今日はこの辺で。

 

では。

フィンランドの在留許可手続きについて

Moi.

どうも、Taichiです。

 

今回は真面目に、役に立つ情報を綴ろうと思います。

 

フィンランドで3ヶ月以上滞在しようとすると、在留許可申請が必要になって来ます。

これがなかなか煩雑でめんどくさい。僕の奮闘を書き残しておこうと思います。

 

 

在留許可とは

フィンランドに滞在するには

1.三ヶ月未満であればシェンゲン協定によって自由に滞在できる

2.それ以上の場合は在留許可が必要になる。

 

ややこしいことに、VISAではなく在留許可です。

 

申請のためのステップ

1.Enter Finlandでアカウントを作成する。

2.記入できるところは全て記入する

3.必要な書類を揃え、PDF化して添付する

4.オンライン手続きを終え、東京の大使館で指紋採取

5.在留許可カードが手元に届くまで待つ

 

こんな感じです。詳しく見ていきましょう。

 

 

 

1.Enter Finlandでアカウントを作成する。

Enter Finlandとは、在留許可に必要な書類をオンラインで処理するためのサービスです。数年前から全てオンラインでできるようになりました。素晴らしいですね、日本も早く紙ベースから抜け出して欲しい。余談ですが、お隣の国エストニアはすでに全ての住民サービスをオンラインで済ませられるようになっています。

オンラインの何がいいかというと

・手数料が紙に比べて安い

・記入漏れ防止

・書類に不備があった際すぐに追加書類を送れる

・めちゃ簡単

 

2.記入できるところは全て記入する

アカウントさえ作ってしまえば、少しずつ記入していけばいいので楽チンです。

学生で申請する場合は、学習の目的や自分の大学で学んでいることとの関係などを説明せねばならないので、結構時間がかかります。焦る前にやっておきましょう。

 ほとんどは直接書き込めるのですが、一つだけ書類を書かされます。

Residence permit application forms - The Finnish Immigration Service

ここからMP_1という書類をダウンロードし、記入してからEnter Finlandへアップロードします。と言ってもこれもPCやiPhoneで記入できちゃうので、わざわざ印刷する必要はありません。

 

3.必要な書類を揃え、PDF化して添付する

あとは必要書類を集めていきましょう。

・パスポート

・大学などの受け入れ証明書

・収入の証明(残高証明もしくは奨学金証明)

・受け入れ大学の学費請求書(奨学金が学費をカバーするなら、その証明)

・保険証明 

 

 別にPDFでもjpegでもなんでもいいです。電子化しましょう。

しかしフィンランドの学校は受け入れ証明などもメールで送ってくるので、その必要はありませんでした。用意したファイルは一つのフォルダーにまとめて、あとで参照できるようにしておくと安心です。オンライン申請が全て終了すれば、その日のうちに大使館で手続きができます!大使館の開館時間をチェックしてください。めちゃくちゃ短いです。もっと働いて…。

 

僕は渡航予定が6月末、学校から受け入れ許可の連絡が来たのが6月なかばと、手に汗握るタイトなスケジュールにしてしまったので、パスポートと保険、奨学金の証明は早めに用意し、大学からの連絡を待ちました。保険や奨学金の証明などは、通っている大学の担当者と綿密に連絡を取らなければいけないので、ちゃんと仲良くなっておきましょうね。

 

4.オンライン手続きを終え、東京の大使館で指紋採取

 なぜ大阪でできないんだ

と皆さんお怒りのことと存じます。そうです、東京の大使館でしか受け付けていないのです。これは絶対です。(別の国のフィンランド大使館で手続きするなら別)

 

僕はフィンランドの大学から連絡が来るであろう時期に山を張り、先に東京へ行ってから連絡を待っていました。幸いにもその日に連絡が来て、無事に大阪へ帰れたのでした。本当に良かった…。

 

手続き自体はとても簡単です。フィンランド大使館のインターホンを鳴らし、ドアを開け(フィンランドでよく見るドアだった!)申込書に記入すれば、個室に入っていくつかの質問に答え、指紋を採取するだけです。この時証明写真と、オンラインで提出した書類の原本を持って来るように言われるのですが、「オンラインでもらったので原本はないです」とでも言っておけば大丈夫です。ちなみにここでのやり取りはフィンランド人と、英語もしくはフィンランド語で。帰り際にkiitosといったら苦笑いされました…。

 

5.在留許可カードが手元に届くまで待つ

 カードの受け取りは大使館か、郵送か選べます。郵送の場合手続きの際に500円支払います。電子申請の場合、申請手続きがどこまで進んでいるかをオンラインで確認することができます。たまにメンテナンス中で見れない時がありますが、謎のキャラクターが癒してくれるので気長に待ちましょう。

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全ての工程にかかる時間ですが

・書類集めとオンライン記入:人による、本気出せば1日で終わります

 

・電子申請処理:1,2週間、申請者の数が多い時期は長くなります。フィンランド移民局が行う。

 

・大使館手続き:1日 

 

・カードが日本に届くまで:1週間 自宅へ郵送の場合はさらに数日かかります。

 

僕は一ヶ月しかなかったのですが、結構ギリギリでした。フィンランドの大学は返事が遅い…。

 

いかがでしたでしょうか。

人それぞれ事情は違うので細かいところはご自分で調べるのがベストかと思います。

この辺を全て読めば全部わかります

Residence permit application forms - The Finnish Immigration Service

在留許可 - フィンランド大使館・東京 : 領事サービス : 滞在許可・就労許可

eServices : Student

大使館へはメールで問い合わせもできるので、どうしてもわからなければ問い合わせましょう。これは日本語でオッケーです。

 

では。

 

三本の映画の話 〜 真実を知るということ

Moi.

どうも、Taichiです。

 

最近見た映画、ドキュメンタリーが偶然にも共通点を持っていたので、

今日はそのことについて語ろうと思います。

  

 

1st. 「あん」監督:河瀬直美 主演:樹木希林永瀬正敏

2nd. 「Congo, The Blood in Our Pocket.」 監督:不明

3rd.  「The True Cost 〜真の代償〜」監督:アンドリュー・モーガン

 

 一本目は日本映画で、二本目はインド人監督によるコンゴの映画、三本目はアメリカ人監督によるインドの映画です(バングラディッシュも含む) 

 

 

以下ネタバレを含みます。もしあなたが上記の映画を見る予定なら、先に見てきてください。

 

 

 

 

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あん(Netflix)

どら焼き屋”どら春”の雇われ店長が76歳の老女、徳江を雇う。彼女が作るつぶあんがあまりに美味しく、店は繁盛するが、心ない噂が彼らの運命を変えて行く。(Netflixより)

 

あんは、単純に楽しめる映画です。お話も芝居もすごく良くて、好きな映画をいくつか挙げろと言われたら確実に入れます。

樹木希林演じる徳江さんはらい病患者で、そのことを隠してどら焼き屋で働き始めるのですが、どら焼き屋のオーナー(店長を雇っているおばさん)はその噂を耳にし、らい病に関する間違った知識と、無知による恐怖心から徳江を解雇するよう、店長さんに迫ります。

 

この映画は、「差別心が生まれる瞬間」を克明に描いた作品です。

 

「らい病患者は昔、厳重に隔離されてたらしい」

「手足や鼻が落ちるんだって、気持ち悪い」

 

そう言いながら、病気のことをよく知りもしない彼女は、自身の恐怖心と外聞を気にして、「らい病患者を雇い続けるわけにはいかない」という決定をします。

 

差別問題には必ず、「寝た子を起こすな論」というものがついて回ります。

「らい病なんて今の子供たちは知りやしないんだから、わざわざ教えなくても差別は自然消滅するだろう」という主張のことです。

これは一理あるのですが、しかし重大な見落としがあります。それは

 

「差別は無知による恐怖から生まれる」

 

ということ。

 

得体の知れない病気、自分に感染するかも知れないという恐怖(今回は、噂が広まり店が潰れるかもという恐怖でした)

映画を見てもらえばわかると思います。差別が生まれる瞬間。

 

この映画は同時に、「知ることの大切さ」「知らないことの愚かさ」も教えてくれるようです。店長さんは病気に関して詳しくは知らなかったかも知れないけど、徳江さんのことはよく知っていた。彼女の人となりや、考え方。透き通るような心を持った人だと。

「無知」は人に負の感情を植えつけます。知らないことほど怖いものはない。

 

映画は雄弁です。ここで語り尽くすことのできないことを語ってくれます。

ぜひご覧ください。Netflixは650円から契約できますよ。

 

 

 

 

 

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Congo, The Blood in Our Pocket.Youtube

 

コンゴは最も貧しい国の一つであり、統制がまるでなってないため常に紛争状態にあります。

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 しかし埋蔵資源の価値を換算すると皮肉にも、最も裕福な国となります。

 

 

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コンゴの世界シェア

 

コルタン-70%

コバルト-34%

銅-10%

ダイアモンド-10%

不法ウラン採掘-不明 

 

この映画はコルタンという鉱石をテーマにした短いドキュメンタリーです。コルタンとは、スマートフォンを始めとするあらゆる電子機器に使われている鉱石で、近年需要が増加する一方コンゴでの違法採掘も増え続けています。

コルタン - Wikipedia

 

この貴重な鉱石の需要は、コンゴを最も貧しい国にしている要因の一つです。

 

wired.jp

 

実はこのドキュメンタリーを撮影した監督と会ったことがあるのです。大学の英語の先生が監督と知り合いで、来日した時に教室でそのインド人監督と一緒に映画を見ました。

 

 「私たちの電子機器への欲望が、コンゴの悲劇を起こしている」

 

そう言われた時、戸惑いました。そんなこと知らなかったから。かっこよくて便利なスマートフォンを欲しいという気持ち、行動が、企業をコンゴへと出向かせ、安価にコルタンを仕入れさせる。時に違法に、時に残虐に。

 

しかし彼は続けて、「この映画の目的は君たちにそれを放棄させることではない」と言って自分のスマートフォンを取り出しました。

「私も持っている。テクノロジーは後戻りができない。本当に必要なことは ”あなたが何者かを知ること” だ」と言いました。

 

私たちは「裕福さ」のピラミッドの頂点で生まれ育ち、暮らしている。「自分が何者かを知る」とは、自分の足元に誰がいるのか、そのピラミッドは誰が支えているのか、自分は誰に生かされているのか、を知ることだと思います。

 

 

 

 

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 The True Cost 〜真の代償〜Netflix

 

前回、itobanashiというファッションブランドでインターンを始めたという記事を書きましたが、要するにこれが理由です。

 

 より安い服を欲する消費者と、途上国の労働者を搾取する工場の間にある見えないリンクを追う、現代のファッション産業を捉えなおすドキュメンタリー。(Netflixより)

 

ここ数十年で、「服を買う」という行動は全く別物と言っていいほど、状況が変化しました。

ついこの前までは国内の服の7割近くを国内で作っていたのに、今ではたった数%にまで減りました。それはより安い国で製造し、服の値段を安価にするためです。

 

服は消費財ではありません。当たり前のように聞こえるかも知れませんが、それを現実にしてしまったのがいわゆる「ファストファッションブランド」です。過度に安価になった服は、人に「保善」や「お下がり」という選択肢を忘れさせ、人はまだ着れる服をためらいもなく捨てます。

 

服を着る人は、その生産から廃棄までの責任を負うべきである。

そのためには、ファッション業界の真実を知らねばならない。

そういう意図で撮られた映画です。

 

先のドキュメンタリーにも共通しますが、私たちの欲望と無知がこの状況を加速させているのです。誰しもがこの問題の責任を負っているのです。

 

 

 

 

三本の映画、いかがだったでしょうか。ぜひ全て見てください。

 

最初は「知ることの大切さ」

続く二本は決して他人事や遠い世界の話ではない「とある真実」を伝える映画でした。

 

知りたくない真実というのは沢山あります。誰しもあります。

怖かったり、気持ち悪かったり、不愉快になることも多いかも知れません。

 

 

しかし、「知ること」はもっとも単純にして明快な、「世界を良くする方法」ではないでしょうか。

 

 

三本の映画を見た後、きっとあなたもそう言えるでしょう。

 

では。

建築学部の俺がアパレル企業でインターンをはじめたワケ

 

Moi.

どうも、Taichiです。

 

二週間ほど前から、itobanashiというアパレル系ベンチャー企業インターンをはじめました。と言っても一人でやってるまだまだ小さな会社ですが。

 

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https://m.facebook.com/itobanashi.jp/?ref=bookmarks

 

 

 

あなたはどこで服を買っていますか。

 

なんのブランドが好きですか。

 

その服はどんな会社が販売してるんでしょうか。

 

それを作ったのはだれ?

 

素材は何でしょう。

 

どこで生産されている?

 

 

服は食事と同じように生活と切り離せないし、服を買うことは家を買うほど特別ではない。普段着るものについて友達と話すことも多いはずです。だけど、それがどんな経緯であなたの手元にたどり着いたのか、どこからやって来たのか、気にする人はそんなに多くない。

 

食品の産地や製造過程には厳しい目が向けられるけど、服になるとそうでもない。その理由はなんでしょうか。今の衣服生産のシステムは持続可能なものなんでしょうか。

 

考え出すとキリがありませんが、せめて気にかけることはしたい。そんな思いを持っていた僕は、偶然itobanashiに出会いました。

 

農薬不使用のオーガニックコットンの使用、労働環境や賃金など人道的配慮を十分にしようという取り組みは僕の目には新鮮に見えました。他にやってるところを知らなかったから。

 

そういう選択肢が日本にもあるのかと少し嬉しくなって、その日にitobanashiの商品を購入して、代表の伊達さんと仲良くなって、応援したい気持ちが大きくなって、ついにインターンまで始めてしまいました。

 

「消費の対象ではなく、想いを持って手に入れたいものへ」 

多くの人に、この言葉が届くことを願ってます。 

 

 

では。

 

 

林業ツアー in 東吉野町&川上村 樽丸編

Moi.

どうも、Taichiです。

 

林業ツアーの後編は川上村の樽丸職人、春増 薫(はるまし かおる)さんの工房を見学して来ました。

 

林業ツアーとは日本の山、林業をもっと深く知り、木の文化や山の現状を世に知らしめるため、 一人で勝手に企画・実行しているツアーのこと。様々な形で木材に関わっている人たちを取材し、木に対する想いを聞き出してゆく。

 

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  • 樽丸とは

 ここでは、杉の木から作られた湾曲した板を竹で締めた樽のことを言います。吉野林業は別名、樽丸林業ともいい、樽丸をつくるために最適化されて来た歴史があるのです。

 

樽丸に適した木材、それは「無節である」こと。

樽丸はその昔、酒を運搬するために作られて来ました。液体を入れて運ぶため、木材に節があるとそこから漏れだしてしまうのです。そのため吉野の木材は、節がない材を育てるために、「吉野林業」と言われる育林法を確立しました。

 

吉野林業の特徴は「密植」「多間伐」「長伐期」

密植とは植林の際、通常1ヘクタールあたり3000本の苗木を植えるのですが、伝統的な吉野林業では10000本もの苗を植えます。木は成長するにつれ葉が生い茂り、その密度ゆえ光の確保が困難になっていきます。そのせいで木は光を求めて上へ上へと成長してゆき、吉野材の特徴である「通直完満」が実現されるのです。

 

通直完満とは、まっすぐで根元と先の直径に大きな差がなく、年輪が一定である材を表現する言葉です。

 

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それらの吉野林業を特徴付ける手法は全て、良い樽丸を作るために開発されたものです。

そんな吉野でも樽丸職人はわずか数名になってしまいました。酒を運ぶ手段が樽から瓶へ移ったからです。そんな貴重な技術を継承した春増さんは、今でも川上村で樽丸を作るための板を作り続けています。

 

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まず、丸太を放射線状に割ります。

 

 

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そして、少し湾曲した形の板を取り出していきます。

 

 

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これを大きさや形を整え、よく乾燥させて樽の形に合わせていきます。

 

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なぜ切るのではなく割るかというと、理由は様々あるのですが、一番大きな理由はノコギリが無かったから。実はノコギリの歴史というのは結構浅く、室町以前は一般的ではありませんでした。だから日本人は繊維方向に割裂しやすい杉を好んで使って来たのです。

 

春増さんの家も代々林業を生業として来たそうです。

「今、吉野の山の全ては管理しきれてない。放って置かれて問題になる山もたくさんある。そもそもこれから人口減少社会に入って行くんだから、今までのように全ての山で林業をするんではなく、適切に伐採した後は自然に戻して行くのが一番いいと思う。」

そう語ってくれました。

 

木材の使われ方も時代とともに変化して行きます。樽丸で林業を確立し、建築で財を成した吉野の木は、次の時代どのように使われて行くべきなのか。それを林業家や製材業、建築家やデザイナーまでが自分の分野を超えつつ、協働して考えなければいけないのです。 「川上から川下まで」木の流通を川にたとえていう言葉ですが、全体を俯瞰して木材を扱える建築家になるのが僕の一つの目標です。それに一歩近づいた、吉野林業ツアーでした。

 

では。

生駒山のピザ屋/ Yamaoka Pizza

Moi.

どうも、Taichiです。

 

生駒山の上にある人気のピザ屋、山岡Pizzaへ行って来ました。

 

www.yamaokapizza.org

 

ここはもともと山の中で、自閉症アスペルガー症候群の子供を見るための診療所でした。

そこの院長であり、ピザ屋の仕掛け人でもある建築家の方のお誘いで、ご飯を食べに行くこととなりました。

生駒山へは、東大阪から暗峠を越えて行きます。険しい…。

 

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峠を越えてしばらく進むと、おとぎ話に出て来そうな門構え、そして建物が見えて来ます。

 

ほとんどがDIYというから驚き。

 

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自然豊か、というかむしろ自然に飲み込まれそうです。

 

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外にはテラス席とテント席。4月末はまだ肌寒い生駒山頂。

 

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扉や貼ってある板など、目に見えるものはほとんど廃材を拾って来たものだというから驚きです。当時、廃材を使うなんて発想はほとんどなかったそうな。今では新材より高値がつくビンテージものもあるそうです。

 

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中はこんな感じ。この窓から奈良の盆地が一望できます。窓も廃材。昔のガラスなので表面が均一でなく少しゆがんでいて、なんとも言えない雰囲気を出しています。この建物に凄く合っている…。

 

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奥に行くと暖炉とカウンター席があります。暖炉も全て手作り。おしゃれな山小屋。

 

お店は完全予約制で、当日飛び入りはお断りしているそうです。山の上で予約必須、それでもこのお店は連日お客さんがたくさん訪れています。僕が行ったのも月曜日の夕方でしたが、5〜6組はいました。

 

その人気の秘訣はなんと言っても美味しい料理。本格的なピザ釜で焼いているピザは、梅田や難波でも食べられないくらいの美味しさ。ワインは全てオーガニックで、すっきりとした味わい。トマトのオーブン焼きやアボカドグラタンなど、何を食べても本当に美味しい。

 

大阪の中心からはお世辞にも近いとは言えない距離ですが、大阪、奈良に訪れた人には絶対にオススメしたいお店でした。

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抜群のロケーションと雰囲気。

ウエディングやグランピングなどができるように改装する案もあるとかないとか。

ぜひ一度、足を運んでみてください。

 

では。

 

 

「森を守るには木を伐れ」そのわけとは

Moi.

どうも、Taichiです。

 

林保全と森林伐採

 

相容れない関係に思えますが、これらはある条件を満たせばイコールの関係になります。

それこそが僕の目指す健全な森林あり方。

今日はそんな話です。

 

 

 

知の見取り図というサイトで、こんな本棚を見つけました。

 

mitorizu.jp

 

「森を伐らない」

 

木を伐るとは、どういう行為なんでしょうか。

 

 

森林伐採と聞いてみなさんが思い浮かぶ光景はきっと、豊かな生態系を持つ熱帯雨林が、大規模なプランテーションに置き換わってゆくこの光景では無いでしょうか。

 

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熱帯雨林

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皆伐され

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プランテーションに置き換わる。

 

これらは森林伐採であり、森林破壊です。許される行為ではありません。土地を収奪し、雇用を奪い、生態系を破壊し、先進国の利益となる。持続可能なわけがありません。

 

しかし森林伐採、すなわち「木を伐る」という行為は、何もこれだけではありません。

上の例は熱帯地域の話。

では日本の森林伐採を見てみましょう。

 

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樹齢30年前後のスギ。まだ径が小さく、密集しています。

 

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樹齢50年。20年の間にうまく育たなかった木や曲がった木などを間伐して、密度を調整します。

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樹齢70年。ここまでくると立派な木材として出荷できます。主な収益となる木材を、主伐材と呼びます(それ以外が間伐材

 

どうでしょうか。これがあるべき「森林伐採」の姿です。

生態系は維持され、雇用や収益をその地域に生み出し、その上持続可能です。

 

同じ木を伐るという行為が、ここまで真逆の結果を出すということ、あなたはご存知でしたか?

 

森林伐採は悪である」

 

それはこう言い換えるべきです 

 

「森林”皆伐”は悪である」

 

皆伐とは読んで字のごとく、すべての木を切ってしまうことです。それは森が長い時間をかけて培ってきたものすべてを一瞬で消し去ってしまう行為。

林業だって立派な森林伐採ですが、それは植林、手入れ、間伐、主伐、そしてまた植林と、森林の中のサイクルを維持しながら70年、80年という長い時間をかけて行うもの。そして人工林は、必ず人間の手を加えなければ、そのサイクルを維持できません。(日本の森の4割が人工林)

間伐や手入れを怠ることは森林サイクルを崩すことであり、すなわち森林破壊につながるのです。

 

「森林破壊」「森林伐採」という言葉だけが一人歩きしています。しかし実際は場所や森林の種類、方法によって様々な意味があるのです。

こと日本において、これだけは確実に言えます。

 

「森を守るには木を伐れ」

 

では。