Wood Program / 北欧の国フィンランドで木造建築

Moimoi. どうも、Taichiです。 森と湖の国ことフィンランドから、建築やデザイン、留学、教育など幅広い分野に首を突っ込んでいきます。

タリン滞在は5日以上をオススメする理由

Moi.
どうも、Taichiです。
 

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エストニアの首都、タリンへ行ってきました。
ヘルシンキからタリンへは、港からフェリーで2時間程度。実はスウェーデンよりも近いお隣の国なのです。そんなタリンへ、ヘルシンキから行く人々の内訳はこちら
 
1.アルコールを買いにいくフィンランド人(70%)
2.物価がビビるほど高いフィンランドから逃げる外国人(20%)
3.観光客(10%)
 なお、パーセンテージは偏見です。
 
そして僕はご多聞にもれず2番です。フィンランドに比べて、エストニアは物価がとても安く、半分とはいかないもののそれくらいの体感はあります。宿泊費に関してはそれが顕著で、ヘルシンキで2泊すると10000円はくだりませんが、エストニアでは8000円で4泊もできました。そんな物価が安いエストニアフィンランド人は「酒が安く買える国」としか見ていません笑
 

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半分ジョークですが、半分は事実です。物価が高い代わりに賃金も高いフィンランドの人々は、エストニアではお金持ち。休暇に空のスーツケース、カバン、車などを持ってエストニアでアルコールをしこたま仕入れ、現地では朝から浴びるように飲み、帰りは大量のアルコールと共に飲みながら帰って行く…というのが典型的なエストニア旅行。
 
そして日本人にとってフィンランドの物価は、信じられない!というほどではないものの、じわじわとHPを削ってきます。そんな心傷を癒すためにエストニアへ逃げるように船に飛び乗る人が結構いるそうな。「エストニア 旅行」で調べると、そんな体験記が山ほど出てきます。
 
とにかく、あまり日本から直接の旅行先としてはメジャーではないかもしれませんが、ヘルシンキで中期滞在する人には強くオススメしたい旅行先です。
 

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エストニアの首都、タリンの歴史を遡ると、中世のハンザ同盟から始まります。最北端の同盟都市として栄えた中心部は、今でも当時の街並みが残っていて、とても美しい。国としては100年と若いのですが、都市としては長い歴史を持っているのが、タリンの魅力の一つです。一昔前までは極貧だった国が今や日本を追い抜こうという勢いにまで達したのは、歴史の重みを感じる街並みと、若さを最大限に活かした柔軟さが鍵だったのかもしれません。

www.from-estonia-with-love.net

こちらのブログについてはいろいろあるのでとやかく言いませんが、この記事は優秀だと思います。

 
 
 
タリンへの旅行は日帰りか、せいぜい1泊2日程度が一般的ですが、僕は5日以上をお勧めします。その理由をざっと挙げてみます。
 
一つ一つ見ていきましょう
 

滞在にコストがあまりかからない

はすでに述べた通り、物価が安いからです。僕は4泊5日で交通費、宿泊費含め約300ユーロ、4万円ほどしか使いませんでした。これでも自炊は一切せず全て外食で済ませ、毎晩ビールを飲んでいます。ヘルシンキで同様の生活をすると…考えただけでも恐ろしい。たちまち破産に追い込まれます。フェリー代は往復40ユーロ。これは朝一番、8時の便を予約したためです。多くの人は酒を飲んでいるので、帰りの便は遅いほど高くなって行くんですね。ヘルシンキでたまたま会ったエストニア人のおじさんによると、エストニア国内でチケットを買うと10ユーロで済むとか…。

 
 
 

旧市街だけでなく新市街や地元のホットなエリアもくまなく楽しめる

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なんと言ってもタリンのメインスポットは中世の面影が色濃く残る旧市街です。地図で示すとこの円になっているエリアですね。

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どのガイドブックにも載っているような「ザ・観光スポット」は一日で十分回れるのですが、それじゃもったいない。道はくねくね、路面は石畳、ちょっとした小道から意外な場所で出たりするこの迷路感を味わうには、ひたすら歩き続けて足で脳に地図を刻みつけるしかありません。
 
建物を見つけ、一本の道がわかり、道同士がどう繋がっているかがわかり始めた時に、頭の中で地図が完成して、旧市街の全貌がようやく見えてきます。人が都市を理解するというのは、こういう過程を経るんですね。細かいピースを一つずつ詰めて行く感じ。帰納的都市観察。ちなみに都市デザインとは、その要素を一つ一つ分解していく演繹的な活動なのです。
 

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古いタリンを知るだけでは十分とは言えません!新市街へも足を伸ばしましょう。(写真奥) 旧市街から東側、こちらは打って変わって日本的な都市のイメージに近い、高層ビルなどが(そこまでじゃないけど)立ち並ぶエリアです。このコントラストがなんとも心くすぐるんですよね。ショッピングモールがわんさかあるので、お買い物(アルコール)はここで済ませましょう。
 

www.gizmodo.jp

エストニアに来てから気づいたのですが、ヘルシンキには高層ビルはありません。同じ古い町並みを残すヘルシンキとタリンですが、その保存の哲学はまるで違うように感じます。何かにつけてヘルシンキとタリンを比較し、思考に耽る日々でした。

 
 

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新旧に留まらないのがタリンの面白いところ!今地元でホットな地区も行って見ましょう。Telliskiviと呼ばれる、旧市街からみて北側、駅の向こうにはかつての工業地区があり、寂れてしまった倉庫などが立ち並んでいます。

 

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建物は古ぼけた石積み、日本でこれが残っていたら保存モノですが…地震がないというのは素晴らしいですね。そしてここは今リノベーションによって生まれ変わりつつあるエリアでもあります。

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倉庫を一部改装し、レストラン、バー、公園、広場など誰でも集える場所ができています。「古いものを生かし、新たな価値へと繋げる」新市街とも旧市街とも異なる第三の価値、それがこのTelliskiviです。ここに来る人たちは多種多様。老若男女、地元の若者も観光客も、お散歩中のワンちゃんとか駆け回る子供たちとそれを見守るおじいちゃんおばあちゃん、それぞれ思い思いに過ごしています。そしていたるところにピンポン台がしれっと置いてあって、みんなストリートピンポンに勤しんでいます。なんとも健全な…。

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この地区は都市再生において重要な示唆を多く含む場所でありました。十分にデザインするわけではなく、ちょっと手を抜いたような、でも人が自然と集まりたくなる仕掛けが散りばめられていて、とても魅力的で価値のあるエリアです。死んだ街、建物を壊すのではなくいかに新しい価値を生み出すかが今日の課題であることはいうまでもありません。Telliskivi、また行きたいなぁ。

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毎日歩くだけでも楽しい

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前述の通り、三つの顔がある町、タリン。4日間歩き続け、歩行距離は合計50kmにもなっていましたが、まだまだ足りない。朝起きて身支度もほどほどに外出し、ひたすら歩いて疲れてはカフェに入り、また歩いて街角で一杯飲んでまた歩く。夏の間は日が長く、21時まで昼間並みの明るさなのでいつまでも歩き続けられます。カフェやバーで飲み食いする分はそんなにかかりませんし、お金がなくても歩くだけで楽しいです。
 
 

Simカードが7日間有効で5GB使える

交通機関乗り放題カードが5日間有効

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インフラ系Tipsですが、エストニアフィンランド同様IT大国、あのSkypeを生み出しただけあって、ネット環境は万全です。R-kioskiという、フィンランドへ来たことのある方ならお馴染みのコンビニがエストニアにもあって、そこでSimカードと交通系カードが手に入ります。SimはTELE2というキャリアが扱っているプリペイドが7日間有効、5GB使えてお値段たったの3.49ユーロ、1GBあたり100円もしません。フィンランドでも携帯の通信量は2000円程度で無制限が当たり前なんですが、日本のインターネット事情はどうなっているんでしょうか…。キャリアから1GB買うと1050円など、こちらでは考えられないほど横暴な値段なんですが…。
 

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交通系カードの方が高いのが驚きですが、こちらのスマートカード(というらしい、初めて知った)は、市内のバス、トラムが乗り放題です。電車は乗れなかったんですが、乗る機会もないと思います。そして乗っても激安です(1.2ユーロ)
このカードはデポジットとして2ユーロ、5日間有効の乗り放題e-チケットをチャージすると6ユーロ、計8ユーロです。このデポジットの返金を受け取るには、帰りがけにR-kioskiに返却すればOK。R-kioskiは港の施設内にもあるので便利です。
 
 
この交通系カードは、正直必要かどうか微妙です。タリンの街は端から端まで歩ききれるほど小さく、バスやトラムを利用しても4駅以上乗ることはありませんでした。港から中心部までも、正直歩いた方が早いです。僕はわざわざ数十分待ってバスに乗った挙句、遠い空港まで飛ばされてしまいました…。歩き疲れて帰るのがめんどくさくなったり、あるいは大きい買い物をする予定のある人は必須かもしれませんが、足腰に自信のある人は6ユーロでビール3杯くらい飲んだ方がいいかもしれません。
 
 
 
 

日光(ビタミンD)をチャージできる

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これ一番大事です。特に今年の夏は7月末になっても肌寒く、日本にいる人たちに「フィンランド、思ったより寒いんだよね」というと「え、もう寒いの?」
 

ちゃうねん!!まだ、寒いの!! 夏はこれから!!

 
ということがしばしば。曇りや雨が多く、晴れても曇りがち、快晴だったのは1ヶ月のうち7日くらいでしょうか。一方タリンはというと、5日中4日が快晴でした。1日は晴れのち曇りのち雨。やはり大陸に属しているから、南から乾いた風がやって来るんでしょう、雲ひとつないことがごく当たり前の晴れ空でした。その上天気が悪くても肌寒いことはほとんどなく、歩いていたら暑くなるくらい十分な気温があります。ヘルシンキビタミンD不足に悩んだら、迷わずフェリーの切符片手に港へ向かいましょう、手遅れになる前に…。
 
 
 
 
以上、タリン滞在は5日以上をオススメする理由でした。
 
旅行前、タリンとヘルシンキ、そこまで大きく違いがあるのかと思っていたのですが、かなり違いがありました。ロシアに占領されていた歴史や、独立の時期など、共通点も多くある両都市ですが、ロシアの影響はタリンの方が濃いです。ロシア風の建物も多いし、ロシア語も英語の次によく見かける。ヘルシンキはどこへ行ってもそう大きな違いはないのですが、タリンは新、旧、工業地帯、郊外と様々な顔がありました。いわゆる都市的な風景も、ハンザ都市の面影も、はたまた旧ソビエトの退廃的な貧しい風景もまだ残っています。街路に対する建物の並び方や、古さ、構造など比較すべき点は様々ですが、一言で言うとタリンの街は面白い! 建物や街の魅力というのは、言葉や写真、映像では絶対に伝えられません。タリンが気になった方は是非、遊びに来てみてください!
では。