Wood Program / 北欧の国フィンランドで木造建築

Moimoi. どうも、Taichiです。 森と湖の国ことフィンランドから、建築やデザイン、留学、教育など幅広い分野に首を突っ込んでいきます。

暖かいフィンランド、寒い日本

Moi.

どうも、Taichiです。

 

フィンランドより日本のほうが遥かに寒い。

 

現在留学開始から半年近く経つんですが、フィンランドには泡で出るハンドソープが無いことに気が付きました。僕はハンドソープは絶対泡で出る派だったので、ここまで気が付かなかったのが不思議です。なんで気が付かなかったんでしょう。

 

ソープの泡立ちって水の温度が高いほどいいですよね。フィンランドは蛇口をひねれば1秒で熱湯が出せます。(40~50℃くらいまでかな?)だから泡で出す必要がないのかなーと思いました。これには温熱システムが関係してます。

 

ヘルシンキ市内の90%は温水による熱供給システムが導入されています。発電所やゴミ処理場から出た熱で水を温め、それを市内全域に張り巡らせた管を通し、各建物に供給することで、建物全体を温水で温めています。その管から引いてきた温水が、蛇口からも出る、ということ。

 

そんなの、光熱費や水道代が高くついてしまうじゃないかと、思いましたか?

うちは水道代が一律月13ユーロ(1700円位)。電気代はタダ、ガスは無いので光熱費0円です。0円で暖かいお湯がすぐでる。これは僕の推測ですが、寒さが文字通り命取りになる国です。住宅を温めて暖を取るのにお金がかかるとなると、貧困世帯は凍え死んでしまいます。それ以前に福祉国家としてしられるフィンランドですから(日本よりも手厚い生活保護制度がある)当たり前といえばそうかもしれません。

 

さらにフィンランドの建物は断熱が完璧です。(木造のサマーコテージなどは除きます)二重窓はもちろん、玄関やベランダは二重ドア、窓は木サッシです。(アルミサッシは家を冷やす原因のひとつです。しかし安価なので日本ではよく用いられています)家の中から逃げる全体の熱量を100とすると、40~50は窓から逃げると言われます。窓の断熱をしっかりすることはとても重要なんです。日本の一般的な住宅は安価なアルミサッシ、熱ガバガバの窓に、貧弱な断熱材と、先進国で見て最低レベルの断熱しかありません。建築基準法で定められている最高レベルの窓は、ヨーロッパでは基準を満たさないからと使用が禁止されているなんて話も聞いたことがあります。

こんな話をすると、「断熱をしたら夏暑くてたまんないよ。日本の気候には向いてない」なんてことを言われるのですが、全く逆です。基礎化学の知識で簡単にわかることですが、断熱材というのは熱伝導率の低い材料です。夏は屋内より屋外の気温が高いので、日中屋内の温度が屋外温度に近づいていくわけですが、そこに断熱材があれば屋内温度の上昇を防いでくれるのです。断熱材は「暖かい」のではなく「熱移動を妨げる」

のです。また、家の気密度をあげると「そんな息苦しい家住めない」なんてことを言う人がいます。気密された空間は息苦しいのでしょうか? 大前提として、建物というのは換気されていなければなりません。住宅だと0.5回/h以上の換気が必要と定められています。簡単に言い換えると、2時間に一回、家の中の空気がすべて入れ替わるということです。さらに車の中というのは住宅にくらべて遥かに気密性が高いのですが、息苦しさなんて感じたことないですよね。

 

閑話休題

 

エネルギー使用量があがる冬季は、いろいろなエネルギー源を使用してるのですが、夏季はゴミ処理場から出るエネルギーのみで賄えるなんて話も聞いたことあります。(ドイツだったかもしれない)化石燃料は減らして、バイオマス(木くずやゴミを燃やしてタービンをまわす)や自然エネルギー原子力に移行しようというのがフィンランドのエネルギー政策です。数年前、フィンランド放射性廃棄物最終処理場が完成し、日本の新聞でも取り上げられるほどのニュースになりました。

www.afpbb.com

 

とにかく、このあたりのゴミ処理、温熱供給や断熱のレベルは日本は到底及ばないんですね。僕の部屋は常時23℃が保たれています。外は氷点下ですが。これに慣れてしまったので、日本の家にかえるのが怖い。目下、実家断熱計画を頭のなかで構想中です。部屋のなかに新しい窓と壁を付け加えて、中に断熱材を入れる…どうかな。

 

ハンドソープから両国の熱関係の比較、そんな話でした。

では。